愛犬の目の下がいつも濡れていたり、毛が赤茶色に変色したりすると、「鼻涙管をマッサージすればよくなるのでは」と考えることがあります。
ただし、犬の鼻涙管マッサージは、自己判断で行うものではありません。涙が増える原因は鼻涙管の詰まりだけではなく、目の炎症、角膜への刺激、まぶたや被毛の問題なども考えられます。
目の周辺はとても繊細です。まずは受診が必要な症状がないか確認し、マッサージを行う場合は、獣医師から愛犬に合った方法を教わった場合だけにしましょう。
- 充血や痛みがある場合は、マッサージをせず動物病院へ相談する
- 涙やけだけで鼻涙管の詰まりと決めつけない
- 目頭や眼球を自己流で押さない
- 自宅では目元を清潔で乾いた状態に保つ
- 涙が続く、繰り返す、片目だけ増える場合は原因を調べてもらう
犬の鼻涙管マッサージは自己判断で行わない
インターネット上で紹介されている押す場所、力加減、回数をそのまま試すのは避けましょう。愛犬によって涙が増えている原因が異なり、目や鼻の周辺を刺激することで痛みや炎症を悪化させる可能性があります。
鼻涙管とは涙を鼻へ流す通り道
鼻涙管は、目の表面にある涙を鼻の奥へ排出する細い通り道です。
- 涙が作られすぎている
- 涙の排出がうまくできていない
- まぶたや被毛が目を刺激している
- 顔や鼻涙管の構造によって涙があふれやすい
涙があふれる状態は鼻涙管の閉塞だけで起こるとは限りません。そのため、マッサージを始める前に原因を確認することが大切です。
鼻涙管マッサージの前に動物病院へ相談したい症状
先に受診したい症状
- 白目やまぶたの内側が赤くなっている
- 目を細める、閉じたままにする、前足でこする
- 黒目が白く濁る、青白く見える
- 黄色や緑色など、色のついた目やにが増えている
- 片目だけ急に涙が増えた
- 目の周りが腫れている、痛がる、症状が急に悪化した
目の異常は見た目だけでは原因を判断しにくく、角膜の傷や炎症が隠れていることもあります。痛がっていなくても、涙の増加が続く場合は診察を受けましょう。
犬の涙やけは鼻涙管の詰まりだけが原因ではない
涙やけは、あふれた涙によって目の下の被毛が濡れ、赤茶色に見える状態です。
| 原因の分類 | 考えられる状態 | 確認したい様子 |
|---|---|---|
| 涙が作られすぎる | 目の炎症、角膜への刺激、異物など | 充血、目を細める、こする |
| 涙を排出しにくい | 鼻涙管の狭窄や閉塞、涙点の異常など | 涙が常にあふれる、片側だけ多い |
| まぶたや被毛の問題 | まつ毛や目の周囲の毛による刺激、まぶたの形の異常など | 毛が目に入る、まばたきが増える |
| 顔や目元の構造 | 短頭種や目が大きい犬など、涙があふれやすい構造 | 以前から涙が多い、両目が濡れやすい |
フードだけを原因と決めつけない
涙やけがあると「フードの添加物や老廃物が鼻涙管に詰まっているのでは」と考えることがありますが、食事だけで原因を判断することはできません。
食物への反応が疑われる場合もありますが、先に目、まぶた、被毛、鼻涙管などの状態を確認することが重要です。自己判断でフードを何度も変更せず、必要に応じて獣医師へ相談しましょう。

自宅で目元を触る前の判断フロー
涙やけに気づいたときは、すぐマッサージを始めるのではなく、次の順番で判断します。
- 充血、痛み、濁り、色のついた目やにがある
マッサージや温めるケアをせず、動物病院へ相談します。 - 緊急性の高い症状はないが、涙が続く・繰り返す
鼻涙管だけでなく、目やまぶたを含めて原因を診てもらいます。 - 診察を受け、獣医師から自宅ケアを指示された
教わった場所、方法、回数を守って行います。
一度診察を受けていても、以前とは違う症状が出た場合は、過去に教わった方法をそのまま続けず再度相談してください。

獣医師から指示された場合の自宅ケア4ステップ
鼻涙管周辺のケアを教わった場合も、一般的な動画や記事ではなく、獣医師から愛犬の状態に合わせて説明された方法を優先します。
獣医師に教わった範囲で行う4ステップ
手と指先を清潔にする
無理に押さえつけず、顔をそむけるなど嫌がる様子がある場合は始めません。
触る場所、力加減、回数を自己流で変更しません。眼球を直接押すことは避けてください。
涙、充血、目やに、痛がる様子に変化がないか確認します。異常があれば中止して動物病院へ相談してください。
回数を増やせば効果が高まるとは限りません。教わった内容以上の刺激を加えないことが大切です。
鼻涙管マッサージと目元ケアの注意点7つ
自宅で目元をケアする場合は、次の7つを守りましょう。
安全に行うための確認ポイント
- 眼球を直接押さない
目そのものや、痛みのある部分には触れません。 - 自己流のツボ押しをしない
目頭や鼻の周辺には繊細な組織があるため、根拠の不明確な刺激は避けます。 - 鼻をつまんだり動かしたりしない
鼻先を左右へ動かすなど、獣医師から指示されていない方法は行いません。 - 嫌がる場合はすぐ中止する
顔をそむける、体を硬くする、うなるなどの反応があれば続けません。 - 回数や力を自己判断で増やさない
強く押す、長時間続ける、頻度を増やすことは避けます。 - 充血や目やにが増えたら中止する
ケア後に症状が悪化した場合は、動物病院へ相談します。 - 改善しなくても無理に続けない
原因が鼻涙管以外にある可能性もあるため、再診して確認します。
涙で濡れた目元を清潔に保つ方法
- 清潔で柔らかいガーゼなどを使用する
- 目の周りを強くこすらず、涙をそっと吸い取る
- 左右の目で同じ面を使い回さない
- 拭いた後は湿った状態のままにせず、やさしく水分を取る
固まった目やにを無理にはがしたり、人用の洗浄液や消毒液を使用したりしないでください。目元用の商品を使う場合も、成分が愛犬に適しているか獣医師へ確認すると安心です。
目の周囲の毛が目に入りやすい場合は、無理に自宅で切らず、トリマーや動物病院へ相談しましょう。
改善しないときに動物病院で行う検査と治療
涙が続く場合は、鼻涙管だけでなく、目の表面やまぶたなどを含めて原因を確認します。
| 検査・処置 | 確認する内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 目とまぶたの診察 | 充血、傷、異物、まつ毛やまぶたの異常など | 涙の原因が鼻涙管以外にないか確認する |
| 蛍光色素などを使った検査 | 角膜の傷や涙の流れなど | 検査結果だけでなく症状全体から判断される |
| 鼻涙管の通過確認・洗浄 | 涙の通り道が狭くなったり詰まったりしていないか | 鎮静や麻酔の方法は犬の状態や病院によって異なる |
| 原因に応じた治療 | 炎症、感染、まぶたの異常、先天的な構造など | 点眼薬や処置、手術など必要な治療は原因によって変わる |
鼻涙管洗浄は、詰まりが疑われる場合に通過状態を確認したり、内容物を洗い流したりするために行われることがあります。
ただし、1回の洗浄ですべての犬が改善するわけではありません。炎症や構造上の問題がある場合は、再び通りにくくなる可能性もあります。
鎮静や麻酔が必要か、どのような検査や処置を行うかは、犬の年齢、体調、動きやすさ、閉塞の状態によって異なります。費用も病院や処置内容によって変わるため、受診する動物病院へ確認しましょう。
受診前に記録しておきたいこと
涙の状態を記録しておくと、診察時に変化を伝えやすくなります。
| 記録する項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 左右の違い | 片目だけか、両目とも多いか |
| 始まった時期 | 急に始まったか、以前から続いているか |
| 目やにの状態 | 透明、白、黄色、緑色など色や量の変化 |
| 痛みや違和感 | 目を細める、こする、触られるのを嫌がるか |
| ケア後の変化 | 涙や充血が増えたか、変化がなかったか |
写真を同じ明るさと角度で撮っておくと、目元の赤みや濡れ方の変化を比較しやすくなります。
犬の鼻涙管マッサージに関するよくある質問
自宅ケアを始める前に迷いやすい点をまとめました。
- 鼻涙管マッサージで涙やけは治りますか?毎日してもよいですか?
-
マッサージだけで涙やけが治るとは限りません。原因が目の炎症やまぶたの異常などにある場合は、別の治療が必要です。毎日行うかどうかも自己判断せず、獣医師から指示された方法と頻度を守ってください。
- 蒸しタオルで目元を温めてもよいですか?
-
目の状態によっては、温めることが適さない場合があります。充血、痛み、腫れ、角膜の異常などがあるときは行わず、先に動物病院へ相談してください。
- 毎日涙を拭いても改善しない場合はどうすればよいですか?
-
拭き取りは目元を清潔に保つためのケアであり、涙が増える原因そのものを治す方法ではありません。涙が続く、片目だけ多い、目やにや赤みを伴う場合は、原因を確認してもらいましょう。
- 涙やけがある場合はフードを替えたほうがよいですか?
-
食事だけが原因とは限らないため、涙やけだけを理由に何度もフードを変更する必要はありません。食物への反応が疑われる場合は、目の検査とあわせて獣医師へ相談し、変更方法を決めましょう。
- 鼻涙管洗浄には麻酔が必要ですか?洗浄後にまた詰まることはありますか?
-
鎮静や麻酔の必要性は、犬の状態や処置方法、動物病院の方針によって異なります。洗浄後も、炎症や構造上の問題によって再び通りにくくなる可能性があります。処置前に方法、負担、再診の目安を確認しましょう。
鼻涙管だけでなく、涙やけの原因や毎日の目元ケアを広く確認したい方は、次の記事も参考にしてください。
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犬の鼻涙管マッサージと涙やけのまとめ
犬の目の下が濡れていると、すぐに鼻涙管の詰まりを解消したくなります。しかし、涙が増える原因は一つではありません。
最後に確認したいこと
- 充血、痛み、濁り、色のついた目やにがある場合は受診を優先する
- 涙やけだけで鼻涙管の詰まりと決めつけない
- 目頭や眼球を自己流で押さない
- 獣医師から指示された方法と回数だけを守る
- 涙が続く、繰り返す、悪化する場合は再度相談する
自宅でできる基本は、涙をやさしく拭き、目元を清潔で乾いた状態に保つことです。
